「自動車の場合、エンジンは寒冷地、たとえば北海道の氷点下20度のところでも、スイッチをいれると、たちまち数百度の高温になるなど、わずかな時問で温度が激変します。
また触媒は振動に弱いのですが、自動車は長距離を高速で走り、激しく振動します。
ひどい悪路を走る場合もあります。
そのうえ、当時のガソリンにはノッキング防止のために4エチル鉛が含まれていました。
触媒は鉛にふれると性能が劣化してしまうのです。
だから、触媒を自動車のような悪条件のそろったところで使うなどということは、従来のわれわれ化学屋の考えからすれば非常識極まりないものでした」
このありえない状況を覆してできた触媒は黒煙を上げていた中古トラックの排気がきれいなものになるほど優秀な触媒でした。