陸・海・空で

ダイムラーはべンツとは違って自動車づくりにはさほど力を入れず、むしろ自分の発明になるエンジンを普及させることに、より関心を示していた。

ダイムラー社の有名なエムブレム、"スリー・ポインテッド・スター"も、彼のエンジンを、陸(バス・トラック)、海(モーターボート)、空(飛行船)の三分野で実用化することを象徴したものだった。

それはまさに、今の中古車トラックなどの輸送にかかわる自動車の登場するきっかけとなり、物流がさらに速くなる原動力となるのである。

それはともかくとして、フランスのサラザンの場合、ダイムラー・エンジンを製作する資金も設備も持ちあわせていなかった。

そのため彼は友人のルヴァッソールに製造を依頼した。

ところがサラザンは、八七年末に重病にかかり、それが不治の病であることを悟った彼は、妻を呼んでこう忠告した。